紅環ノ魔石 ― 禍返リノ護符 ―
― 災厄を呑み、己が力へと転ずる赤 ―
古びた銀の細枠に守られた、深紅の霊石。
その輝きは血潮のように濃く、見る者の心を静かに震わせます。
この子は、強い“跳ね返し”の力を宿した特異な石。
持つ者のもとに届く悪意・嫉妬・呪詛を飲み込み、反射的に送り返すと伝えられています。
跳ね返された禍は、ときにその発信源──悪意を放った者のもとへと還ることもある、
極めて鋭い護りを持つ存在です。
ただし扱いを誤ると、その力は暴発し、持ち主自身の内なる不安や怒りを映すことがあるため、取扱いには慎重を要します。
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前の持ち主様の言葉
「最初は夜、胸元で石が熱を帯びるのを感じました。翌朝、不思議とずっと続いていた人間関係の揉め事が終わり、嫌がらせをしていた相手が急に転勤になりました。」
「それ以来、この石を“鏡”と呼び、決して怒ったまま触れないようにしていました。」
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授かる恩恵
・悪意・呪詛・嫉妬・怨念などの負の波動を吸収し、反射する
・放たれた禍を元の発信源へと返すことがある
・言葉による攻撃や、理不尽な仕打ちを静かに終息させる
・身に迫る不運を察し、災厄を未然に防ぐ
・過去の縁やしがらみを断ち切り、新たな気流を生む
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この子を灯に託された方は、
「この石は“怒りの鏡”。清めることで力を保てる」と残し、
白い布に包み、火のそばで一晩眠らせてから幽封庵に送ってこられました。
扱う際は、月明かりや清水で静かに浄め、
不安や怒りを抱いたまま触れないようご留意ください。
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紅環ノ魔石が映すのは、禍を退けた後に残る真実の光。
どうかその力を、必要なときだけ静かに呼び覚ましてください。
夜禍ノ店 ― 祀神 灯 ―